1度は見ておきたい福岡に伝わる奇祭6選

日本人は祭好きな民族です。夏から秋にかけてのハイシーズンはもちろん、年末年始、初春など何かにつけて全国で祭が行われています。その中に奇祭と呼ばれるジャンルがあるのをご存知でしょうか。奇祭とは文字通り奇抜な祭のことを指し、ご神体に選ばれた男に泥を投げつけたり、300人が木製のボールを奪い合ったりとちょっと理解の及ばない神事が行われています。しかし、その光景はインパクト大。毎年多くの人が奇祭の見学に訪れます。そんな奇祭はここ福岡にも多く伝わっています。特にインパクトが大きく人気なものをご紹介します。

氏子の代表に泥をぶつける!朝倉市の泥うち祭

泥はつけばつくほど良いとされている

概要

くじで決められた氏子をご神体(代宮司)として他の氏子たちが泥をぶつけたり塗りつけたりします。代宮司は神の座と呼ばれるスタートから500ⅿ先にある道祖神まで運ばれ、その間に塗られた泥の量でその年の収穫量を占います。泥は多ければ多いほど豊作とされるので氏子たちは常軌を逸した量の泥を代宮司に投げつけます。大変迫力のある光景ですがあまり近くで見ていると流れ弾を食らうので注意しましょう。

歴史

由来は定かではありませんが300年ほど前の江戸時代にはすでに行われていたようです。同時期に杷木市でも米粉を水で溶いたおしろいを塗り付けるおしろい祭りが興ったとされているので風土的な関係があったと考えられています。

泥打ち祭

日程:毎年3月第4日曜日12:00~
場所:阿蘇神社(朝倉市杷木穂坂396)
駐車場:なし
アクセス:西鉄バス杷木停留所から徒歩5分
お問い合わせ:道の駅「原鶴」インフォメーションセンター(0946-62-0730)

水の入った臼を豪快に被る、みやま市の臼かぶり

重い木製の臼を持ち上げる

概要

成人の日の早朝にさらしに草履姿の男衆が水を張った臼を担ぎあげ水をかぶり、その後豪快に臼を投げ飛ばす神事です。水を張って一晩おかれた臼は70㎏を超えているというので驚きです。子どもはバケツに水を張ってかぶります。水を張って積まれた臼を男衆が被っては投げ被っては投げる姿は大迫力。毎年たくさんの人が見学に訪れます。

歴史

臼かぶりは明治元年、大火に遭い80戸以上を焼失した三池地区で火難除けの神事として始まったといわれています。氏子の不足などで次々と祭が廃止される中で250年以上続く伝統を守り続ける臼かぶりは見物客だけでなく、報道陣も多く訪れ毎年テレビ放送もされています。

臼かぶり

日程:毎年1月成人の日18:00~
場所:三池本町祇園宮(大牟田市大字三池809付近)
駐車場:なし
アクセス:西鉄バス三池中町停留所より徒歩2分
お問い合わせ:大牟田観光協会(0944-52-2212)

男衆が木製の玉を奪い合う、筥崎宮の玉せせり

かなり荒々しい

概要

別名「玉取祭」とも呼ばれ、直径30㎝程の木製の玉を裸にふんどし、ハチマキ姿の競り子と呼ばれる氏子たちが奪い合います。競り子は陸と浜、2つのチームに分かれていてスタートである末社の玉取恵比寿神社から250ⅿ先の本宮楼門にいる神職に玉を渡したチームが勝利となります。陸チームが勝てばその年は豊作に、浜チームが勝てばその年は豊漁になるといわれています。

歴史

由来ははっきりとわかっていませんが、500年前の室町時代に始まったといわれています。使用されている玉は神功皇后が龍神にささげた満珠干珠の玉をモデルにしている説と明応3年(1494年)正月に博多上須崎の原田某という人物が筥崎宮に詣でた際に見つけた輝く2つの玉であるという説があります。

玉せせり

日程:毎年1月3日13:00~
場所:玉取恵比寿神社~筥崎宮境内(福岡市東区箱崎1-22-1)
駐車場:あり(有料)
アクセス:地下鉄貝塚線箱崎宮前駅から徒歩2分
お問い合わせ:筥崎宮社務所(092-641-7431)

高さ2mの人形の股をくぐる神事、みやま市の大提灯・大人形

巨大な人形の股を次々とくぐる

概要

7月21日に行われる大提灯では50日間かけて作られた高さ2.5ⅿ、直径1ⅿの提灯と傘を掲げた神職と氏子が町中を練り歩きます。提灯には魚のウロコや虫の羽、木の皮などがあしらわれており、その美しさと緻密な技は一見の価値ありです。24日、25日の大人形では八坂神社の拝殿に供えられたうう人形とも呼ばれる高さ2ⅿ以上の大人形の股をくぐることで無病息災を願います。大人形は夜通し行われ、参拝客が次々と大人形の股をくぐっていきます。

歴史

口伝によると白武三郎兵衛という貧しい武士が川を流れる御神体を追いかけ、上庄の南西の棚町で拾い上げて八坂神社でお守りしました。その際に持っていた提灯をモデルとしたといわれています。他にも諸説ありますが、すべて神事で使われる提灯と傘が登場しています。

大提灯・大人形

日程:毎年1月中旬
場所:上庄八坂神社(みやま市瀬高町上庄631)
駐車場:なし
アクセス:JR鹿児島本線瀬高駅から徒歩15分
お問い合わせ:みやま市教育委員会社会教育課市史編さん係(0944-32-9183)

水で溶いた新米を顔に塗りつける、朝倉市のおしろい祭

家まで落としてはいけないのは結構シビア

概要

氏子たちが新米で作った米粉を水で溶いた「おしろい」を顔に塗り、豊作を占う神事です。おしろいの付き具合で来年の作柄を占います。また、このおしろいは家に帰るまで決して落としてはなりません。特に落としたおしろいを燃やしたり火に入れてしまうと火難に遭うといわれています。おしろいは家畜の飼料に混ぜて食べさせることで無病息災のご利益を得ることができます。おしろいは一般参拝者も塗ることができます。

歴史

会場である大山祗神社は山の神という女性の神様を祀っています。おしろいは山の神が化粧をする様子に由来しているといわれています。朝倉市の泥うち祭と同様に300年前の江戸時代から続く祭で何らかの関係があると考えられます。地理的にも近いことから同一の祭りだったとする説もありますが詳細は不明です。

おしろい祭り

日程:毎年12月初旬
場所:大山祇神社(朝倉市杷木大山1053-2)
駐車場:なし
アクセス:大分自動車道杷木ICより車で15分
お問い合わせ:道の駅「原鶴」インフォメーションセンター(0946-62-0730)

竹のキセルでタバコを吸う祭、筑後市のきせる祭り

竹のキセルで吸うたばこはおいしいのだろうか

概要

毎年氏子の中から選ばれる座元と呼ばれる家に氏子が集まり30㎝程に切った青竹で作ったキセルを吸います。その後参加者は払い水とほうき、天狗のお面にのぼりをもって氏神である竈門神社に向かい五穀豊穣と子孫繁栄を願う神事が行われます。また、きせる祭は筑後市無形文化財に指定されています。

歴史

天正6年(1578年)、溝口城主であった溝口重正が佐賀の龍造寺隆信に攻撃されました。城下町も焼かれ城を追われた重正は近くの竹やぶに逃げ込み、青竹にタバコの葉を詰めてキセル代わりに使いました。そういった故事から生まれたキセル祭は400年以上続く神事として受け継がれています。

きせる祭り

日程:毎年12月13日11:00~
場所:筑後市溝口地区の座元宅→竈門神社(筑後市溝口1549付近)
駐車場:なし
アクセス:九州自動車道八女ICから車で10分


※情報はすべて2018年11月時点のものです。年によっては氏子の不足などで中止になる場合があります。詳しくは各市町村役所までお問い合わせください。