2018年、日本では不作や生産者の減少により、高菜不足に陥っています。主力産地である長崎の生産量は最盛期だった2013年の約3,700tから減少を続け、2018年には約2,400tと5年で7割以下に落ち込みました。(高菜の出荷は12月~3月)
博多のラーメン店では国産の高菜不足から名物である辛子高菜が次々と消え始めています。そこで、辛子高菜の材料である高菜漬けの替わりになるものはないかを探してみました。
辛子高菜の作り方
辛子高菜は塩抜きした高菜漬けをごま油と輪切りの唐辛子、調味料で炒めて作られています。味付けは地域やお店によって違いますが高菜漬けを主な材料としているのは全国共通です。
高菜漬けは大きな括りでいうと葉物野菜の漬け物なので、同種の漬物を同様に調理すれば近いものが作れるのではないかと考えました。
用意した食材
今回辛子高菜の代用品を作るにあたり、5種類の漬け物を用意しました。
まず1つ目は白菜の浅漬けです。
辛子高菜の材料となる高菜漬けとは味付けが異なりますが、塩抜きして味付けをしてしまえばいい線行くのではないかと期待しています。
次に用意したのは大根の葉の漬け物です。残念ながらみじん切りにしたものしか売っていませんでしたが葉物野菜で高菜漬けに近い味付けなのでこちらも期待できます。
3つ目は今回の本命、青菜の漬け物です。
青菜、と一口にいってもおおよそ青い葉物野菜全般を指していますが用意したものに使われているのはカブの葉です。見た目も高菜漬けにかなり近く、辛子高菜の代用品になってくれるのではないでしょうか。
4つ目は少々趣向を変えてセロリの浅漬けを用意しました。葉物野菜というよりは香味野菜といった位置付けになるかもしれませんがこちらも調理していきます。
最後はキムチです。他のものとはかなり違った材料になりますが一応葉物野菜の漬け物ということで用意させていただきました。キムチに限っては塩抜きすると白菜の浅漬けとの差がほとんどなくなってしまうのでこのまま塩抜きせず使用します。
以上5種類の漬け物を使って辛子高菜の代用品を目指していきます。
調理する
今回は写真の通り、ごま油、輪切りの唐辛子、醤油、みりん(は高いので風調味料)を使って調理します。手順はフライパンで熱したごま油に材料の漬け物と唐辛子、みりんを加えて炒めて火を止めた後醤油を回しかけます。
白菜の浅漬け
まずは白菜の浅漬けを使って調理します。
白菜水に5分ほどさらして水気を絞ります。
熱したごま油に白菜、唐辛子、みりんを加えて炒めます。この際、水気が残っていたせいか大漁の油が跳ねました。
火を止めて、醤油を加えて混ぜます。
醤油は鍋の縁から入れてフライパンの余熱を通すと角が取れて食べやすく仕上がります。
完成したものがこちらになります。
どうみても白菜の炒めものです。豚肉と一緒に炒めると美味しそうなビジュアルに仕上がりました。早速食べてみましょう。
結構しっかりと炒めましたがかなり水分が残っています。白菜と高菜では含まれている水分が違うのでその差が如実に現れていました。
塩抜きする前に塩揉みして水分を抜き、葉の部分を使用すればもう少し近い仕上がりになったのではと感じました。
評価
みずみずしさ:☆☆☆
おかず度:☆☆☆
高菜度:☆
大根の葉漬け
こちらも白菜と同様に塩抜きしました。
みじん切りになっており、水に入れると浮いてしまうので上から皿などの抑えをしてあげましょう。
水気をよく絞ったら熱したごま油、唐辛子、みりんで炒めます。ヘラで混ぜる感触が軽くなったら火を止めて醤油を縁から入れます。
完成したものがこちらです。
材料の色もあり白菜よりは高菜に近い感じになりました。
こちらも試食してみましょう。
味はかなり高菜に近づきましたがみじん切りになっているせいかかなり味が濃く感じます。ごま油が満遍なく馴染んでいるので、ご飯に混ぜ込んで食べるとおいしいかもしれません。
評価
味の濃さ:☆☆☆
ご飯に合う度:☆☆☆
高菜度:☆☆
青菜漬け
3番目は期待の青菜漬けです。
同様に塩抜きして水気をしっかりと絞ります。
熱したごま油、唐辛子、みりんと炒めます。炒めている感じはかなり高菜に近いです。こちらも手応えが軽くなるまで水分を飛ばします。
醤油を混ぜて完成です。
若干香りが弱く、色も薄いですが見た目はかなり辛子高菜になりました。味も見てみましょう。
高菜独特のクセがなく、若干あっさり目ではありますが高菜に非常に近い仕上がりです。
これは代用品として使用しても差し支えないでしょう。
少し濃く味付けすればわからないレベルだと思います。
評価
見た目:☆☆
あっさり度:☆☆☆
高菜度:☆☆☆
セロリの浅漬け
さて、ここからが問題です。葉物野菜というよりは香味野菜として扱われるセロリ、しかも漬物に使われているのは茎のの部分です。厚みがあり、白菜同様かなりの水分が含まれていると予想されるので念入りに火を通して水分を飛ばしてみます。
塩抜きしたセロリを同様の味付けで炒めます。前述したとおり水分が多く含まれていそうなので油は少し少なめにしています。
火を通したらしんなりとすると思いきや香ばしい焼き色がついてしまいました。どうやら想像より水分は少なかったようです。辛子セロリというよりは焼きセロリのような見た目になっています。味は辛子高菜の味ですが、セロリの香りが非常に強く出ています。浅漬けにされ、塩抜きもされているのに香りがごま油にも負けていないので強烈な違和感があります。
評価
水分:☆
セロリ度:☆☆☆
高菜度:-
キムチ
最後にして最大の問題、キムチを調理していきます。青菜漬けの高菜度が非常に高かったためもはや調理する意味もあまりありませんがせっかく用意したのでやっていきます。前述したとおりキムチの塩抜きをすると白菜の浅漬けと差がなくなってしまうのでそのまま使います。
調味液がそのまま残っているため、焦げ付きを防ぐために多めに油を敷きます。条件を揃えるため、すでに入っていますが唐辛子を、味が濃くなるのも承知の上でみりんも加えます。
完全にキムチ炒めになりました。かなり味が濃そうですが味見しましょう。かなり塩辛いです。油を大量に敷いたものの水分を飛ばすために長時間炒めたため、調味液の焦げた匂いとごま油の香りが混ざっています。味は見た目通りかなり濃いのでご飯と一緒に炒めてチャーハンにするとおいしいかもしれません。
評価
味の濃さ:☆☆☆
チャーハン度:☆☆☆
高菜度:-
青菜が一番高菜に近い
5種類の漬物を高菜の代用品として調理しましたがやはり青菜漬けが1番高菜に近い結果になりました。逆に当初の予想と違い、白菜の漬物は高菜とはかなり差を感じる結果になりました。セロリとキムチは大方予想通りの結果です。もちろん、青菜も完全に高菜の代わりになるというわけではなく、味や香りに若干の差があります。
しかし、今回一番おいしかったのがこちらの「辛子大根の葉」を温かいご飯に混ぜ込んだものでした。辛子高菜に近いものを作る、という今回の趣旨からは外れて今いますが、これがあれば辛子高菜が無くても生きていける気がします。
とはいえ、博多ラーメンやご飯のお供に欠かすことのできない辛子高菜。青菜を食べながら来期の高菜の豊作を祈りましょう。