普通の観光に飽きた方へ!柳川のB級観光スポット「やながわ有明海水族館」が絶対おすすめ!

福岡県柳川市は天神から西鉄天神大牟田線で45分ほどのところにある筑後地方の主要都市で、市内を縦横に掘割(水路)が流れていることから「水の都」と呼ばれています。
その掘割を使った川下りやウナギ料理、旧藩主立花氏の別邸「御花」が有名で、全国から多くの方が観光に訪れる福岡県でも有数の観光地です。

そんな柳川市に「やながわ有明海水族館」という水族館があるって皆さんはご存知ですか?
小規模な水族館ですが、地元柳川や有明海の魚をメインに他の水族館では見ることのできない珍しい生き物を扱っていて家族連れからマニアまで幅広い層に人気のスポットです。

今回は柳川観光するならぜひ寄ってほしい、知る人ぞ知る観光スポットをご紹介します。

見た目は”蔵”だけど水族館

というわけで柳川市稲荷町にやってきました。
場所は西鉄柳川駅からバスに乗って10分ほどの水天宮入口停留所で下車。そこから旧戸島氏邸庭園方面に歩いて5分ほどの場所です。
水族館には3~4台分の駐車スペースがありますが、休日にはすぐに埋まってしまいます。
満車の場合は近くの「市営稲荷町観光駐車場」を利用しましょう。

有明の新鮮な鮮魚を販売している

柳川市稲荷町と言えば有名なのが有明海の珍味を食べることができるお店「夜明茶屋」です。

新鮮な魚。生きているものも多い

店先を覗いてみると新鮮な有明海の海の幸や…

ムツゴロウを使ったラーメンなどインパクトがある商品が並ぶ

ムツゴロウやワラスボなどの珍味を使ったお土産が並んでいます。

お昼の時間は外していたが満席だった

店内には食事スペースもあり、新鮮な魚介類や有明の郷土料理を食べることができます。
しかし!今回の目的はあくまで水族館。夜明茶屋の向かいにあるやながわ有明海水族館へ向かいます。

見た目は江戸時代の蔵の様

というわけでこちらの江戸時代の蔵のような建物が冒頭でもご紹介した「やながわ有明海水族館」です。
入場料は大人200円、高校生以下はなんと無料!

それでは早速中に入ってみましょう。

館内ではウナギがお出迎え

引きで見るとそうでもないが実物はかなり大きい

中に入ると体長1mはあろうかという大きなウナギが出迎えてくれます。
このウナギはその名の通りオオウナギという種類で大きいものは最大2mにまで成長するのだとか。
熱帯性の魚で、暖かい南西諸島に多く分布しています。普通のウナギ(ニホンウナギ)との違いは、大きさと背中に黄色い斑模様があることでしょうか(パイプの中にいるため確認できず)。
ちなみにオオウナギとウナギは別種の生き物ですが、どちらも年々数が減少しておりオオウナギを天然記念物に指定している自治体も多くあります。
福岡では遠賀川や筑後川といった広い河川から小川や用水路といった広い範囲に分布しており、有明海水族館にいるこの個体も近くのクロークで捕獲したそうです。
柳川は各所にクロークという水路が通っていることで有名ですが、そこには多種多様な生き物が住んでいるんですね。

しばらくウナギを見ていると、ちょうどエサの時間だったようで職員の方がウナギにエサをあげる様子を見せていただきました。

俊敏すぎて写真が撮れなかった

オキアミを箸でつかんで水槽の上にもっていくと、先ほどからパイプに入って全然動かなかったウナギが機敏な動きで浮上。
そのまますごい勢いでエサをひったくっていきました。さすがは肉食性の魚、見た目の割に獰猛なのかもしれません。

職員の方は箸から食べるようになるまで1年以上かかったと言っていました。今では箸でエサを持っていかないと反応しないほどに飼いならされてしまっているそうです。
ちなみに箸でエサやりをすることに特に意味はなく、「イルカショーみたいに盛り上がるかと思ったけどそうでもなかった」ということでしたが、筆者はかなり盛り上がって実際にエサやりを体験させてもらったりしました。
タイミングよくエサの時間に立ち会えた場合はぜひチェックしてみてください。

所狭しと並ぶ水槽には90種類以上の生き物が

水槽が所狭しと並んでいる

館内にはウナギの他にも、合わせて90種類以上の魚や水生動物が飼育されています。
その多くは柳川のクリークや柳川市を流れる沖端川や筑後川で捕獲された地元に生息する淡水魚でした。

その多くが絶滅危惧種に指定されている

こちらの水槽で元気に泳いでいるのはコイ科の魚、タナゴと呼ばれる仲間です。
展示されているほとんどが福岡県の絶滅危惧種に指定されている珍しい魚ですが、これもすべて柳川の掘割に住んでいるのだとか。

ウナギの稚魚。まだ生態には謎が多い

もちろん普段食用となっているウナギ・ニホンウナギも展示されています。
これはまだ子どもの個体ですが、すでに体長は50㎝に達していました。

派手な模様が特徴的

もちろん有明の海に住む海水魚も展示されています。
こちらはインパクトの強い見た目をしたウツボ。有明海のみでなく全国の海に生息しており、獰猛で海のギャングとも呼ばれています。

取材中一切こちらを向いてくれなかったワラスボ

こちらは有明海でしか見ることのできない海のエイリアン・ワラスボ…の後ろ姿です。
本来は映画「エイリアン」に出てくるエイリアンのような不気味な顔が持ち味なのですが、残念ながらこの取材中一度も顔を見せてくれることはありませんでした。

海のエイリアン・ワラスボ

アップで見ると鋭い歯がならんだ不気味な顔をしています。生命力がとても強く、地元では「活け造りにすると噛みついてくる」なんて言われているそうです。怖い。
そんなワラスボですが、見た目に反して味が良いため古くから食用として食べられています。柳川のお土産屋や道の駅ではワラスボの干物が販売されているだけでなく、スナック菓子やラーメン、果ては栄養ドリンクにもなっているそうです。

泥の上を跳ねる姿がかわいいムツゴロウ

そんな中、泥が詰まった水槽で飼育されていたのが有明海の干潟でおなじみの魚・ムツゴロウです。
泥の上を胸ビレで歩く姿が全国的にも人気の魚。直径3㎝ほどの巣穴から這い出て歩き回る姿は見ていて飽きません。

そのまま食べても炙っても美味しい

でも、お土産売り場にはムツゴロウの干物なんかも売っていたりします…
可愛い見た目からは想像できないほど無残な姿に。でもこれが美味しいんです。

迫力の大水槽でエサやり体験

手作り感あふれるプレート

この水族館のメイン展示がこの先にある大水槽。
中には主に筑後川に生息している大型の淡水魚が飼育されています。

まさにワニのような見た目の魚

こちらの魚は北アメリカ大陸原産のアリゲーターガー。名前の通り、ワニのような姿をしており、表面は隆起した固いウロコでおおわれています。
有明海水族館にいる個体は体長1mほどですが中には2mほどまで成長する個体もいるそうです。
福岡県では筑後川や遠賀川などの大きな河川でたまに発見されてはニュースになっています。

水槽に近づくとこちらに集まってくる

水槽に近づくと群がってくるのは皆さんご存知のコイです。
こちらも日本全国の川や池に生息していますが、一部の種を除くほとんどが中央アジア原産の外来種です。
一般的に野生のコイは体長60㎝程ですが、こちらで飼育されているものはほとんどが80㎝を超え、体高も高い立派なものでした。

巨大な魚が20匹くらい飼育されている

他にも中国原産のソウギョや古代魚のチョウザメなどどれも巨大な魚が泳いでいました。

エサは1袋20円。独特の臭いがする

この大水槽のコーナーでは巨大魚たちにエサをあげることができます。
価格は1袋20円。そう、この水族館は1人220円あれば満喫できるんです!

これなら何袋食べてもお腹一杯にはならないだろう

エサは公園などで売っているコイのエサよりも少し小さめのペレット状。
たくさんの人があげても大丈夫なように量は少なめです。

一気に大パニックに
争奪戦が始まる

エサを入れると魚たちは大興奮!
1匹1匹が巨大なので非常に迫力があります。しかも1袋のエサが少ないので必然的に取り合いに。

残像が見えるほどの速さで動くチョウザメ

数が多いコイが優勢に見えますが、少し小柄なチョウザメが間をすり抜けてエサをさらっていきます。

エサを入れても微動だにしなかった

コイやソウギョが大騒ぎしている間、アリゲーターガーは我関せずといった様子で遠くから見つめていました。
見た目の割におとなしい気質なのかもしれません。

はく製や標本の並ぶ様子はまるで資料館

乾燥したタツノオトシゴもある

こちらは水族館の一角にある標本コーナー。
ホルマリン漬けにされた魚の標本やカブトガニのはく製、何かの動物の頭蓋骨が並んでいます(骨は本当に何の骨かわからない)。

これらはすべて市民や学生団体からの寄贈

ホルマリン漬けの標本はムツゴロウやウナギ、オオグソクムシなど、有明海で採取された生き物が展示されています。
これらの標本はこの水族館の運営にも関わる学生団体・有明海塾に所属する学生が採取・作成したもので、展示されている魚の多くも有明海塾をはじめとした市民が捕獲したものだそうです。

生き物が好き、B級スポットが好きならぜひ!

2010年に開館した手作り感あふれる小さな私設水族館ですが、有明海の珍しい生き物が展示されるということでもともと水生生物マニアの間では名の知れた施設でしたが、館長の体調悪化により一度閉館してしまいます。

その後、市や有明海塾の尽力で2016年にリニューアルオープン。新館長には九州のさかなクンこと小宮春平氏が就任しました(2018年任期満了)。
現在は見た目に派手な巨大魚や体験コーナーを設置したことで、家族連れに人気のスポットとなっています。

柳川駅からもそれほど遠くなく、観光地の一つである夜明茶屋や川下りのスタート地点である城隅町も近いため柳川観光の際は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

施設情報

場所:福岡県柳川市稲荷町29
営業時間:平日12:00~16:30
    土日祝11:00~17:00
定休日:火曜日
入館料:一般200円/高校生以下無料
駐車場:なし(付近にコインパーキング有)