2019年9月20日からラグビーワールドカップ2019が開催されます。
「オリンピック」「サッカーワールドカップ」と並んで世界3大スポーツ大会に数えられ、2015年の前回大会では観客総動員数250万人、テレビで視聴した人は1億2000万人にも及んでいます。
そして、今回の会場はなんと日本!
福岡市の博多の森球技場を含む国内12ヶ所で44日間、48試合が行われます。
実は、これまでの開催国は強豪国がひしめくヨーロッパ圏や世界最強と謳われるラグビーチーム「オールブラックス」の本拠地であるオーストラリアでしたが、前回大会での日本代表の活躍を受けてか今回はアジア圏では初めて日本が会場に選ばれました。
福岡市では9月に開催記念セレモニーを行ったり、ラグビーワールドカップ仕様のラッピングバスを運行するなど開会に向けて盛り上がりを見せています。
日本のラグビー人口は非常に少ない
ところで、皆さんの周りでラグビーの話題は上がっているでしょうか?
日本シリーズも終わり、野球の話題もひと段落。ラグビーのリーグは年末から年明けにかけて一番の盛り上がりを見せます。
しかし、少なくとも筆者の周りではラグビーが話題に上がることはなかなかありません。
それもそのはず。実は、日本はラグビーの競技人口が圧倒的に少ないのです。
競技名 | 競技人口 | 割合 |
---|---|---|
野球 | 約8,122,000人 | 約7.1% |
サッカー | 約6,375,000人 | 約5.6% |
テニス | 約4,750,000人 | 約4.2% |
バレー | 約4,558,000人 | 約4.0% |
バスケ | 約3,950,000人 | 約3.5% |
ラグビー | 約120,000人 | 約0.001% |
(総務省「平成28年度 社会生活基本調査」より)
社会生活基本調査ではアマチュアや学校の授業なども含んでいるため一概には言えませんが、ラグビーの競技人口は圧倒的に少ないことがわかります。
福岡は花園常連の強豪校も多く、24のジュニアスクール、社会人リーグ24チーム、大学リーグ19チームと国内では比較的ラグビーが盛んな地域なのですが、それでも県内の競技人口は2000人程度と少ない水準です。
なぜ、ラグビーの競技人口が少ないのか。
その理由は激しく危険に見える競技内容と複雑に感じるルールにあるのではないでしょうか。
特にルールの多さは競技人口のみならず観戦人口が少ない原因にもなっているのかもしれません。
確かにラグビーはタックルやスクラムなど、選手同士の激しい接触がクローズアップされることが多々あります。
また、有名なところでいうと「前方にパスを出してはいけない」ルールなど他の競技とは少し違ったルールが存在します。
しかし、実のところラグビーは非常に安全に配慮されたスポーツであり、多くのルールは基本的な原則に則って制定されているのです。
そこで今回は、2019年に迫ったラグビーワールドカップ2019日本大会をより楽しむために最低限知っておきたい知識と注目すべきポイントをご紹介します。
ラグビーの簡単なルール
ラグビーは簡単にいうと陣取り合戦のスポーツです。
敵陣にあるゴールに切り込んでいくのではなく、自陣を少しずつ広げていき得点します。
敵陣の最終ラインにボールを置くとトライが成立し5点が入ります。置く場所は右側左側中央どこでも構いません。ただし、ボールをもってラインを通過すればいいアメフトと違いラインにボールを置かないと得点にはなりません。
試合は味方同士でパスを出し合いながら敵陣にボールを進め、制圧する流れとなります。
ボールを進める方法は主に①ボールをもって前進する②ボールを前に蹴るの2つです。
敵のタックルをかいくぐる、もしくは押しのけながら堅実に進む方法と、敵にボールを奪われる可能性もありますが、キックで大きく前進する方法。チームによって執る作戦が大きく違うのも見どころの1つです。
ボールを敵チームに奪われると攻守交替となる可能性があるのでボールを持っているチームはいかに奪われずに前に進むか、持っていないチームはいかに相手を先に進めずにボールを奪うかが勝負となります。
基本的にはこの試合の流れさえ分かっていればラグビー観戦は十分楽しめるでしょう。
キックによる得点もあります。
トライ後に貰えるキックのチャンスで成功した場合は2点、プレー中のキックなら3点が入りますが、例外も多くあるので点数までは覚えておく必要はありません。
ゴールポストとクロスバーの間を通せばキック成功と覚えておけば十分でしょう。
選手はポジションごとに役割がありますが、試合中はどうしても陣形が崩れて誰が何をしているかわからなくなりがちです。
そこで、次に注目しておくべき選手をご紹介します。ポジションごとに役割が決まっているので試合開始時に背番号をチェックしておくと乱戦になってもすぐに選手を見つけることができます。
注目のポジションと役割
ラグビーは1チーム15人で行われるスポーツで、選手は大きくフォワードとバックスの2つに分けられます。その中で、さらに10のポジションに分類されますが、初めての観戦ならその内4つに注目するだけで充分に楽しめます。
それでは、初心者が注目したい4つのポジションをご紹介しましょう。
フォワード(以下FW)
フィールドに並んだ15人の前方の選手たちを指します。フォワードという名前ですが、他のスポーツとは違い得点をアシストするのが主な役割です。(得点しても良い)
屈強な体格の選手が担当するので多くの人がイメージするラガーマンはこちらのポジションであることが多いです。
ロック(以下LO)
後述するキックオフやラインアウトの際に発生する空中戦でボールを奪い、とにかく相手ゴールへと突き進むのが主な仕事です。
体格のいい人が多いラグビー選手の中でも身長、体重のバランスがいい選手が多いポジション。
ラグビー王国ニュージーランドでは「少年はみんなロックを目指す」と言われるほどのFWにおける花形です。
試合が始まったらロックの選手に注目!味方FWが奪ったボールをもって果敢に敵陣に切り込んでいく姿が楽しめます。
フランカー(以下FL)
皆さんがイメージする、ラグビーにおけるタックルする人がFLです。
ボールを持った相手選手を止めるためにタックル。味方選手が相手のタックルに捕まった際には救出に向かう、まさに戦う男といった印象のポジション。
ボールの行く先に注目していると、敵味方のFLが入り乱れているところに注目すると必ずFLがその中心にいるはずです。
バックス(以下BK)
半分から後ろの選手です。パスやスピードが主体でスリムな体系の選手が多く女性人気が集まります。
得点を狙って行くポジションのため、的確なパスや戦略、俊敏性が必要となります。
ウイング(以下WTB)
WTBは他の選手が持ってきたボールを敵陣の一番奥へと運ぶ役割があります。
仲間が一生懸命運んだボールをタックルやブロックをかいくぐりながら敵陣を突っ走る姿は非常に見ごたえがあります。
WTBには比較的小柄で足の速い選手が選ばれます。
観戦の際、フィールドの両翼どちらかに座れば目の前をWTBが駆け抜けていく臨場感を楽しむことができます。
フルバック(以下FB)
FBは文字通り陣形の最後列に位置します。最後の砦となるポジションですが、ゴールキーパーというわけではなく攻撃にも積極的に参加します。
敵陣を侵攻するという競技の性格上、相手からボールを奪うのはエンドライン際になりがちです。
そんな時FBはボールを強烈にキック!味方の攻撃につなげることもあれば、直接約100m先のゴールを狙うこともあります。
前回ワールドカップで大ブレイクした五郎丸歩選手のポジションでもあります。
他にもプロップ、フッカー、スクラムハーフ、センターなどのポジションがあります。
どのポジションも重要ですが試合の流れをつかむために上記の4つから覚えてみましょう。
反則
確かにラグビーの反則行為は他の競技より少しだけ多い傾向です。
とうぜんすべてを知っておく必要はありませんので代表的なものを3つご紹介しましょう。
スローフォワード
読んで字のごとく、前方にパスを出してはいけないというものです。
前述した通りラグビーの試合はランやパスを駆使して敵陣に進攻するというもの。前方にパスを出せてしまうとラグビー特有の攻防が成り立たなくなってしまいます。
また、後述しますがラグビーにはボールの前でプレーしてはいけないというルールも存在するため、必然的に前にパスを出すことができなくなっています。
ノックオン
2つ目の反則はノックオン。キープしているボールを前に落としてはならないというものです。
名前は違いますが、スローフォワードとほとんど同じもの。
前に落としたボールを味方が拾ってプレーを続行するのは前にパスを出したのと同じことではないかということで反則になっています。
オフサイド
最後はオフサイド。サッカーとほぼ同様のルールですが、ラグビーの場合はボールより前でプレーした場合に発生する反則となっています。
ラグビーで反則が取られると観戦側からはあまり気にする必要はありませんが、スクラム、タッチキック、タップキックなどさまざまな方法でゲームが再開されます。
どの再開方法も相手に攻撃権が移ってしまう可能性があるので他のスポーツよりリスクが高いといえます。
ラグビー観戦を楽しもう
一見複雑なルールをしているラグビーですが、最低限のルールと攻撃方法、反則を知っていれば観戦を楽しめるスポーツです。
4年に1度のラグビーの祭典を福岡で見ることができるチャンス!ぜひこの機会にラグビー観戦にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
次回は福岡で行われる試合について、参加チームやチケット、会場をご紹介します!