福岡県のお雑煮事情について調べてみた

2021年も残りわずか。
まもなく2022年のお正月がやってきます。

さて、お正月に食べるものと言えばおせちですが、最近は食べない方も多いと聞きます。
確かに作るのには手間がかかり、買うのはどうしても高額になってしまいます。
そこで注目を集めているのが「お雑煮」です。こちらもお正月の定番料理ですよね。

お雑煮と言えば、日本各地でそれぞれ違ったレシピで食べられることが知られています。
新潟県の鮭やイクラの入った越後雑煮、白みそ仕立てで縁起物の具が入った京都の京雑煮、島根や鳥取などでは小豆の入った雑煮を食べるなど、その種類は多岐にわたります。
福岡ではあご出汁にかつお菜やブリを入れた博多雑煮が有名でしょうか。

しかし、調べてみると福岡県内だけでも地方によってさまざまなお雑煮が食べられていることがわかりました。
今回はそんな福岡県の特徴的なお雑煮をご紹介していきます。

福岡県各地のお雑煮

地方によって雑煮の作り方は大きく違う

福岡県には主に4つの地方に分かれており、それぞれで別の県と隣接しています。
お雑煮も大きく分けると4種類に分かれており、そこから気候や隣接している他県の影響でマイナーチェンジが加わることで各地域、各家庭のお雑煮になっています。

博多雑煮

ぶりとかつお菜の入った博多雑煮

主に福岡地方、北九州地方で食べられているお雑煮で、福岡県のお雑煮と言えばこれを指す場合が多いです。
先ほども少し触れましたが、焼きあごで取った出汁にぶり、かつお菜、かまぼこ、里芋、ニンジン、椎茸などたくさんの具が入っているのが特徴です。
使用する餅は丸餅で焼かずに具材と一緒に鍋で煮て調理します。

地域によってはぶりと一緒に鶏肉が入るところもあり、非常に具沢山で満足度の高いお雑煮です。

筑前朝倉蒸し雑煮

器はどんぶりほどのサイズがある

朝倉市内の上秋月、甘木、そして筑前町、東峰村の一部で食べられているお雑煮で、具の入った卵液を茶わん蒸しのように蒸し固めて食べるのが特徴です。
具はかまぼこや鶏肉、ニンジンなどの基本的なものに加えてレンコンや里芋などの根菜類が多く入っており、同地域の郷土料理である筑前煮にも通じるところがあります。
餅は焼いていない丸餅を具材と一緒に蒸すことでつきたてのような食感を楽しむことができます。

朝倉市ではこの蒸し雑煮を時期にかかわらず食べることのできる新たな市の名物にしようと「筑前あさくら蒸し雑煮プロジェクト」を発足。
蒸し雑煮の普及に努めています。

筑前朝倉蒸し雑煮プロジェクト

筑後雑煮

シンプルなレシピだけに各家庭の味が出る

筑後地方の大分・熊本よりの地域で食べられているお雑煮です。
大筋は博多雑煮と同じですが、具に春菊が入る、丸餅は焼くなどの特徴があります。
また、シンプルなレシピの為か各地域や各家庭でさまざまなアレンジがされています。

八女風雑煮

出汁兼具としてスルメを使っている

筑後地方の中でも八女やみやま、柳川を含む佐賀県よりの地域で食べられているお雑煮です。
焼きあごではなく、昆布と細かく切ったスルメを使います。具は鶏肉、かつお菜、かまぼこと少ない種類でシンプルに作るのが特徴。
餅は焼かずに具材と一緒に煮て、柔らかくなった餅にスルメを絡めて食べます。

隣接する県でアレンジが決まる?

上記の通り、福岡県で食べられているお雑煮は大きく4つに分けることができました。
とはいえ、すべての地域、すべての家庭で同じものが食べられているというわけではなく、それぞれに違ったレシピが存在します。
そして、そのアレンジは隣接している地域の影響を強く受けていることがわかりました。

大分県に隣接する地域のアレンジ

大分名物のだんご汁。だご汁ともいう

大分県に隣接しているのは豊前市、うきは市などをはじめとする福岡県東部の自治体です。
この辺りではお雑煮の出汁に白みそを使うという大分県の影響を受けている地域があるほか、豊前市の一部では大分名物であるだんご汁に入っている平たい麺(だんご)を取り入れているところもあるようです。

熊本県に隣接する地域のアレンジ

敷き大根をすることで器に餅がくっつくのを防ぐことができる

熊本県に隣接しているのは大牟田市や八女市の一部です。
熊本のお雑煮は博多雑煮に近い比較的オーソドックスなもので、味に大きな違いはありません。
しかし、これらの地域では熊本独特の「敷き大根(敷き里芋)」を取り入れているところがあります。

敷き大根とは、熊本雑煮独特の習慣で柔らかくなった餅が茶わんにくっつかないように輪切りにした大根を茶わんの底に敷く盛り付けの技法です。
調べてみると熊本独特の風習というわけではなく、全国で使われているようです。

佐賀県に隣接する地域のアレンジ

佐賀のブランドもち米・ひよくもち

佐賀県に隣接する小郡市や大川市、柳川市などでは出汁にスルメを使う八女風雑煮が食べられており、このレシピがすでに佐賀県からの影響を受けているとされています。
また、佐賀県は日本で北海道に次ぐもち米の産地であり、ブランドもち米である「ひよくもち」を使った餅をお雑煮に使用します。
その影響からか八女風雑煮を食べる地域では餅にこだわる家庭が多く見られました。

今年は違ったお雑煮を食べてみては?

福岡といえば博多雑煮といったイメージがありますが、地域によってさまざまな種類のお雑煮が食べられています。
今年は普段と違ったレシピを試してみるのもいいかもしれませんね。