福岡TIMES

元ラーメン屋がうまかっちゃんを本気でアレンジする

皆さんはインスタントラーメンを食べますか?
時間がない時や料理をするのが面倒な時、手軽に作れるのでとっても便利ですよね。
家に必ずストックしているという方も多いのではないでしょうか。

県民食と言っても過言ではない

インスタントラーメンにはたくさんの種類がありますが、福岡のインスタントラーメンといえばやっぱりうまかっちゃんです。
九州を中心に販売されているうまかっちゃんは九州地区におけるインスタントラーメン消費量の25%を占めるほどの人気を誇っています。

福岡にお住まいであれば一度は食べたことがあるのではないでしょうか。

そして、たくさんの人に食べられているうまかっちゃんにはそれだけ多くのアレンジレシピが存在します。

ハウス食品のホームページにもアレンジレシピが公開されている

インターネット上にたくさんのレシピが紹介されていました。スープに豆乳を入れたり、炒めたひき肉を乗せて担々麺風にしたり、野菜炒めを乗せたりとどれも手軽で美味しそうなものばかりです。

ところで、料理というのは手間をかけるほどおいしくなるものです。(もちろん例外もあります)
多くのラーメン屋さんがスープや麺、トッピングに至るまで長い時間をかけて仕込みます。
つまり、簡単なアレンジで美味しくできるならば、より手の込んだアレンジをすればもっと美味しくなるはず。

というわけで今回は、元ラーメン屋の筆者がうまかっちゃんを本格的なラーメンにアレンジするレシピをご紹介します。
少々手間はかかりますが、お店のラーメンに負けないくらい美味しくできますよ。

特製「カエシ」でスープをパワーアップ!

まずはラーメンの命であるスープからアレンジしていきましょう。

ラーメンのスープは主に「スープ」「カエシ」で作られています。
スープは文字通り、豚骨や魚介、牛骨などから取った「ダシ」で、カエシはスープに味をつけるための「タレ」のことです。

みなさんはラーメン屋で器に少量のタレを入れてからスープを注いでいるのをみたことはありませんか?
その液体こそカエシであり、ラーメン全体の味を決める重要な材料です。

うまかっちゃんには粉末スープと調味オイルが入っている

うまかっちゃんに入っている粉末スープにはもともと味がついていて、すでにスープとカエシが合わさった状態です。
しかし、うまかっちゃんのスープは少々あっさりめ。
豚骨の臭みを一切感じさせない優しい味のスープですが、その分旨味やコクに欠けるところがあります。

そこで、新たにカエシを加えて旨味とコクを補います。

正確にはみりん風調味料

材料は醤油100㏄、みりん100㏄、料理酒100㏄、水100㏄、豚バラ肉ブロック300gです。
カエシに旨味とコクを加えるには動物性のダシと脂が必要不可欠。
ということで調味料と豚バラ肉を一緒に煮込んで、ダシと脂を加えると同時にチャーシューも作ってしまいます。

鍋が小さかった

調味料と水を鍋でひと煮立ちさせ、別の鍋で10分ほど下茹でしておいた豚バラブロックを加えてさらに30分間弱火で煮込みます。
目安としては鍋の中身が3/4程度になるまで煮詰まれば完成です。
入れた水を蒸発させるというのは一見無駄なように見えますが、この工程を経ることで醤油の角が取れてまろやかになります。

アルミホイルでしっかり包む

30分経ったら、豚バラ肉を取り出して熱いうちにアルミホイルで包みます。
予熱調理で中までしっかり火が通ると同時に、味が染みていきます。
また、アルミホイルに包むことで温度低下がゆっくりになり、肉が固くなるのを防ぐことができます。

そのまま、冷めるまで常温で放置します。

鍋が小さすぎたので途中で大きいものに変えました

チャーシューを取り出したらカエシの完成です。
消毒した密閉容器に入れれば冷蔵庫で1週間ほど保存できます。

カエシは醤油ダレとして、インスタントラーメンに入れる以外にもチャーハンや野菜炒め、から揚げの味付けや味玉を作るためのタレとして使えます。ラーメンには基本的に少量しか使わないので他の料理に使ってガンガン消費します。

トッピングを準備しよう

メインとなる6種類の具

カエシが完成したので次にトッピングの準備をしていきます。
先ほど作ったチャーシューに加えて、豚骨ラーメン定番の具を用意します。

炙りチャーシューを作る

バラ肉は薄めに切ると柔らかさが際立つ

しっかり冷ましたチャーシューを5㎜幅でスライスします。
チャーシューの厚さに関しては各所で度々議論が起きていますが、豚バラを使ったチャーシューに限って言えば極力薄めにスライスしたほうが柔らかさが際立って美味しく感じます。

めちゃめちゃ脂が跳ねる

スライスしたチャーシューをバーナーで炙ります。
脂身の部分を重点的に炙り、焦げ目をつけると同時に余分な脂を落とします。

上手に焼けましたー

これでチャーシューは完成です。程よく脂が落ちて、いい具合になってくれました。
今回はまな板にアルミホイルを敷いて炙りましたが、本来なら金属製のバットに網を敷いて炙ります。(今回は網が見当たらなかった)

他のトッピングもしっかり準備します

ラーメン屋で働いていたころは根切りが本当に嫌だった

もやしは青臭さの原因である豆と根の部分を切り落とす「根切り」という下処理をします。
非常に面倒くさい作業ですが根切りをするとしないとでは味が大きく変わるので、気になる方は試してみてください。

処理したもやしは沸騰したお湯で1分茹でて、冷水で冷やします。十分温度が下がったら取り出してキッチンペーパーで水気を拭き取ります。

博多ラーメンでは入れない店も多いのでお好みで

メンマは瓶入りのものを使用しました。調味料が表面に残らないように軽くふき取ってから使用します。

豚骨ラーメンの定番

きくらげは生ではなく乾燥したものを使います。
豚骨ラーメンでは麺を固めに茹でる店が多いため、生きくらげだと麺に歯ごたえで負けてしまいます。(乾燥きくらげの方が安いし)
熱湯で10分ほど戻した乾燥きくらげを洗って水気を拭き取ります。

最近では家系ラーメンのイメージも強い

海苔は食べやすいサイズに切ってから表面を軽く炙ります。

これは個人的な趣味ですが、海苔は極力安いものを使うといいと思っています。
というのも、海苔には黒海苔と青海苔の2種類があり、私たちが海苔として食べているのは主に黒海苔です。
青海苔はたこ焼きやお好み焼きに振りかけるアレですね。

2つを比べると青海苔より黒海苔の方が高価なので安価な海苔には青海苔が混ざっています。
味は断然黒海苔の方が美味しいのですが、実は香りは青海苔が勝っているので、安価で青海苔が混ざった海苔は香りがいいのです。

ラーメンに使う場合、海苔はスープに浸して食べることが多いので味より香りを重視して、10枚90円くらいの海苔を使っています。

高菜より紅ショウガ派

紅ショウガは市販のものをそのまま使います。
好みの範囲ですが、乗せる前になるべく汁気を切っておくとスープの味を変えずに済みます。
逆に汁ごと入れてスープに酸味を加える方もいるようなので人それぞれですね。

ラーメンを完成させよう

スープと具が完成して、いよいよラーメンの調理に入ることができます。
ここまでにかかった時間はおよそ2時間。手間暇かけたというほどではありませんが、うまかっちゃんを40食作れるくらい時間はかかっています。インスタントラーメンにかける時間としては十分でしょう。

それではまず、麺を茹でましょう。

麺を茹でるときは重曹を使う

食品用の重曹。野菜のあく抜きなどに使うものです

麺を茹でる際、500mlの水に対して小さじ2の重曹を入れておきます。
重曹にはグルテンと反応してグルテンの結合を強める効果があります。重曹入りのお湯で茹でることで麺のグルテンが結合を強め、コシの強い生麺のような仕上がりになります。

もちろん、他のインスタントラーメンでも同様ですのでうまかっちゃんに限らずインスタントラーメンを食べる際には試してみてくださいね。

沸騰したら麺を入れます

重曹入りのお湯が沸騰したら麺を入れて2分間茹でます。
茹で時間は完全に好みですがうまかっちゃんの推奨する3分、少し短めにした2分半では柔らかいと感じました。

すぐに泡があふれてくる

麺を入れてしばらくすると重曹の効果で死ぬほど泡が立ちます。
鍋が浅かったため噴きこぼれそうになりましたが、こまめな差し水で事なきを得ました。

安っぽいがちょうどいいザルがこれしかなかった

重曹は炭酸水素ナトリウムでアルカリ性なので、口に入れると強烈な苦みを感じます。
ゆで汁をそのままスープに使わないのはもちろん、茹で上がった麺もザルに揚げて流水でよく洗います。
流水で洗うことで麺が締まりさらにコシのある食感となりました。

スープの準備をしよう

味の素はすぐに溶ける

器にカエシ大さじ2味の素小さじ1を入れます。

最近では無化調と呼ばれる、化学調味料(うま味調味料)不使用をうたう店も多くなってきましたが、化学調味料はもともとラーメンには当たり前に入っていたものです。

1kg600円のうま味調味料

筆者が働いていたラーメン屋では2店舗ともグルエースという商品を使用していました。
探してみましたが量販店には売っておらず、通販サイトでは1㎏からの販売と家庭で使うには多すぎたため、同様の成分が入っている味の素で代用しています。

カエシの入った器にスープを注ぐ

カエシと味の素を入れた器に450mlのお湯で溶いたうまかっちゃんの粉末スープを注ぎます。
付属の調味油は味が濁るため使用しません。別の料理で炒め油などに利用します。

究極のうまかっちゃん、完成です

スープに水洗いした麺と各種トッピングをのせて、小ネギを添えれば完成です!
盛り付け方にセンスがないせいで家庭のラーメン感が出てしまいましたが、味は完璧。お店で食べるかのようなラーメンに仕上がっています。
ここまでするなら食べに行けばいいじゃないかと言われればそれまでですが、インスタントラーメンに手間がかけられて満足。

重曹で茹でた麺
特製チャーシューもうまくできていた

手間をかければうまい

いかがでしたか?

今回は、簡単で手間がかからないのが特徴のインスタントラーメンに思いっきり手間をかけてみました。
我ながら従来のインスタントラーメンの枠を超えるものができたのではないかと思っています。(通常の40倍の時間を使ったので当たり前かもしれませんが)
とにかく時間がかかりますが味は間違いなくおいしいので興味のある方は挑戦してみてください。

とはいえ、インスタントラーメンを食べるのにここまで手間を掛けたくない方がほとんどだと思うので最後にすぐできる簡単なカエシの作り方をご紹介します。

簡単なカエシの作り方

カエシというと難しそうですが要は醤油ダレ。分量さえ間違わなければ火を使わずに作ることもできるんです。

出来上がったものをインスタントラーメンやカップラーメンに大さじ1入れるだけでとても美味しくなります。
また、豚肉を使ったカエシと同様に、チャーハンやから揚げなど他の料理の味付けにも使えるのでぜひ作ってみてくださいね。

材料

作り方

  1. 醤油、みりん、酒を耐熱容器に入れて500wのレンジで10秒加熱します。
  2. 加熱した調味料に顆粒ダシを溶かし、もう一度500wで10秒加熱すれば完成です。
  3. ※作る量を増やす場合は加熱時間も延長してください

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